気持ちのよい秋風を感じながら、ソファで読書、の我が家クマ、MARGARETさん。
MARGARETさんが寝そべって読まれているのは、
料理王国の編集長も務められた土田美登世さんの
日本イタリア料理事始め 堀川春子の90年
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明治生まれ、裕福なご家庭で育った堀川春子さんが、自らの意志で15歳にして、ムッソリー二政権下のイタリア、駐伊大使館で家政婦として働く傍ら、イタリア料理に触れ、帰国後まだ日本では馴染みの薄かったイタリア料理を広めるようになったという伝記的内容。
と同時に日本に於けるイタリア料理史、系譜もしっかり盛り込まれており、大変興味深く息つく間もなく一気に最後まで。
今ではアルデンテもピッツァもごく身近な当たり前なことだけど、考えてみたら、バブル世代後半に学生時代を送ったわたし、そして同い年である著者の土田美登世女史の小中学生時代には、そんな感覚はなかったわけで‥
ひとつひとつ、そういえば、そうだった‥
と、自分の食の思い出とリンク、
初めてピザ(ピッツァではない)やバジリコを食べたときのこと、また
この思い出の銀座サバティーニでのパスタをいただいたのも、サバティーニが銀座にオープンしてそう経っていない頃だったこと、仲間とわいわい騒いだシシリア、学生時代ちょっと背伸びして連れて行ってもらったキャンティといった老舗イタリアン、その独特な空気感にワクワクしたこと、当時おすまししたイタリアンの印象が大変新鮮でその一皿一皿に感動したアルポルト‥
と、懐かしく思い返す事多々あり。
というわけで、小さい頃は未知のものだった”本当のイタリアン”を昭和初期から体験し、その後日本に普及させてきたという堀川春子さんの功績そしてその生き方といったら、それはもう特別なもの。
わたしとしては、つい、100歳を過ぎたいまも食べる事大好き、料理について熱心に語る強い我が祖母の姿と年代的に重ねずにはいられず、堀川春子さんは大正生まれながらも、明治生まれ〜あの時代の女の特有の強さに改めてあっぱれと。
そしてその生き方にしみじみ、今以上にモダンなもの感じたり。
ちょうど一年前にも感じたことも思い出したりして。
堀川春子さんのイタリアンはいまの日本のイタリアン界では古い感覚なのかもしれないけれど、そんなところが逆に新しくも感じ、巻末に添えられたレシピ通りで昔ながらの本当のトマトソースをぜひ作ってみたいと思った。
ちなみに、執筆裏話が
こちらに
先日ふたつのココシャネルの映画を観て来たけれど、この本が映画化されたら、きっとシャネルにも負けないくらい力強く尚かつ美味しい作品になるだろうなー。